[問題]三角形ABCがあり、内部に点Pをとる。
点Pから辺BC、CA、ABにそれぞれ垂線PD、PE、PFを引く。
この時、
BC/PD + AC/PE + AB/PF
が最小になるのは点Pがどんな点の時か?
[解答]
この問題は、三角関数でごりごりと計算しだすとノート何ページも使って計算しまくって、いつの間にかノートに
うへ~!
ってお経書きまくってると言う無限地獄に陥る可能性があります。

こういう
BC/PD + AC/PE + AB/PF
のような形を見ると、一回考えてみて欲しいのがコーシーシュワルツの不等式です。
コーシー、シュワルツの不等式はx→とy→をベクトルとすると
|x→|^2|y→|^2≧(x→・y→)^2
のことで、x→=(x1,x2,x3)とy→=(y1,y2,y3)とすると
(x1^2 + x2^2 + x3^2)(y1^2 + y2^2 + y3^2)≧(x1y1+x2y2+x3y3)^2
で高校ではコーシー・シュワルツの不等式と言います。
積分のコーシー・シュワルツの不等式もありますが、内積はもっと色々な定義があって同じものです。
BC/PD + AC/PE + AB/PFにコーシー・シュワルツを使うには
x→=(√(BC/PD),√(AC/PE),√A(B/PF))とy→=(√(BC・PD),√(AC・PE),√(AB・PF))
とすれば、
|x→|^2=BC/PD + AC/PE + AB/PF
|y→|^2=BC・PD + AC・PE + AB・PF
ですがBC・PD + AC・PE + AB・PFは△ABCの面積は1/2(BC・PD + AC・PE + AB・PF)だから面積の2倍でPの位置によらず一定の値をとります。
また
(x→・y→)^2=(BC + AC + AB)^2
でこれも△ABCの三辺の長さを足したものの二乗で点Pの位置によらず一定の値をとります。
と言うことはコーシー・シュワルツの不等式から
(BC/PD + AC/PE + AB/PF)(BC・PD + AC・PE + AB・PF)≧(BC + AC + AB)^2
で
BC/PD + AC/PE + AB/PF≧(BC + AC + AB)^2/(2△ABC)
(BC + AC + AB)^2/(2△ABC)は点Pによらない一定の値なことに注意して
この不等式の等号成立は
kを定数として
(√(BC/PD),√(AC/PE),√A(B/PF))=k(√(BC・PD),√(AC・PE),√(AB・PF))
となるようなkがある時。
つまり
PD=PE=PF(=1/k)になる時でこれは点Pが△ABCの内心の時で、この時BC/PD + AC/PE + AB/PFは最小になります。
高校数学の問題と解説
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