ちょっと珈琲飲みすぎて胃が悪くなった子連れてきて。
今回は積分と漸化式の融合問題やけど、e=Σ(k=0~∞)1/k!が証明できる問題でもあります。
電気通信大学昼間コース2009年度第二問
[問題]

n=1,2,3,…に対して
S_n=∫(0→1)x^(2n+1)e^(-x^2)dx
とおく。以下の問いに答えよ。ただしeは自然対数のそこである。
(i)I=∫(0→1)x^(-x^2)dxおよびS_1の値を求めよ.
(ii)S_(n+1)をS_nを用いて表せ.
(iii)T_n=S_n/n!とおいくとき,T_(n+1)をT_nを用いて表せ.
(iv)S_nを求めよ.(必要ならば和の記号Σを用いてよい.)
(v)nが1以上の整数のとき,次の不等式を証明せよ,
1/(n+1)!<e-1-Σ(k=1~n)1/k!<e/(n+1)!
[解答と解説]

(i)まずは具体的な値で求めてみって問題やな。
この後にこれをヒントにして一般的に解けって流れが多いねん。
だから難しい問題ではそういう誘導がついてないから、自分でまず具体的な値で計算してみる思考が出来るようにならなあかんねんな。
Iはn=0の時と言わんばかりですが
(e^(-x^2))'=e^(-x^2)(-x^2)'
=-2xe^(-x^2)
より普通に積分できて
I=∫(0→1)xe^(-x^2)dx
=[-e^(-x^2)/2](0→1)
=1/2-1/(2e)
S_1はx^3e^(-x^2)をx^2・xe^(-x^2)と考えてxe^(-x^2)を積分,x^2を微分する部分積分したら求まります。
基本はe^xとかsinxとか積分しても元に戻るのは積分、x^nの方を微分して次数を下げていくってやり方が上手くいくことが多いです。
(ii)
最初言ったように(i)がヒントになってて、具体的な値で考えてみて一般的なのを類推するのが数学でよく使う思考やねんけど実際(i)でもS_1は部分積分するとIの積分の形が出てきたから同じようにS_(n+1)も部分積分したらS_nの形が出ると思われて
x^(2n+3)e^(-x^2)をx^(2n+2)・xe^(-x^2)と考えてxe^(-x^2)を積分、x^(2n+2)を微分する部分積分をやると
S_(n+1)=-1/(2e)+(n+1)S_n
と求まります。
(iii)

単にS_n=n!T_nを(ii)の漸化式に代入したら機械的に求まるねんけど、
S_(n+1)=-1/(2e)+(n+1)S_n
の(n+1)!で両辺われば
S_(n+1)/(n+1)!=-1/(2e(n+1)!)+S_n/n!
で
T_(n+1)=-1/(2e(n+1)!)+T_n
と求まります。
(iv)
(必要ならば和の記号Σを用いてよい.)って書いてるからには、Σを使うと言わんばかりです。
そんなん
たかし君はスーパーに1個120円のりんごを3個,1個80円のみかんを2個買いました。
さて、たかし君は合計何円使ったでしょう?(必要ならば和の記号Σを用いてよい.)
とか注意書きあったらおかしいからな。
(iii)でT_(n+1)とT_nの関係を求めさせられたから、たぶんこっちを使って解くと思うねん。
だから
T_(n+1)=-1/(2e(n+1)!)+T_n
はT_nの階差数列が-1/(2e(n+1)!)だから
n≧2のとき
T_n=T_1+Σ(k=1~n-1)(-1/(2e(k+1)!))
であとは整理したらええねんけど,Σのk+1をkにおきかえたら
T_n=T_1+Σ(k=2~n)(-1/(2ek!))
でk=1では-1/(2e)だからこれも含めて、足して帳尻あわせて
T_n=T_1+Σ(k=1~n)(-1/(2ek!))+1/(2e)
=1/2-1/(2e)-1/(2e)・Σ(k=1~n)1/k!
こうすればn≧2で成り立つ式やったけどn=1を代入すると
T_1=1/2-1/(2e)-1/(2e)=1/2-1/e
=S_1/1!
だからn=1の時も成立することになります。
よって
S_n=n!T_n=n!/(2e)・(e-1-Σ(k=1~n)1/k!)
(v)

e-1-Σ(k=1~n)1/k!は
S_n=n!/(2e)・(e-1-Σ(k=1~n)1/k!)
と同じ部分があるし、流れから言うてS_nを使って示すと思われます。
だから
1/(n+1)!<e-1-Σ(k=1~n)1/k!<e/(n+1)!
⇔
1/(n+1)!<2eS_n/n!<e/(n+1)!
⇔
1<2e(n+1)S_n<e
だからこれを示したらええことになりますが、

ぶるえー!!
なります。
単にぶるえー!なるんじゃなくて、紳士としてぶるえー!!なります。
これはちょっと難しいかもしれんけど、解析ではよく技があって

0<x<1において
1/e<e^(-x^2)<1だから
x^(2n+1)/e<x^(2n+1)e^(-x^2)<x^(2n+1)
これを0から1まで積分しても不等式の向きは同じで
∫(0→1)x^(2n+1)/edx<∫(0→1)x^(2n+1)e^(-x^2)dx<∫(0→1)x^(2n+1)dx
⇔
2e(n+1)∫(0→1)x^(2n+1)/edx<2e(n+1)S_n<2e(n+1)∫(0→1)x^(2n+1)dx
これを計算したら示すことが出来るねん。
こうやって0<x<1で
1/e<e^(-x^2)<1
だから…って積分の不等式を作ってダイナミックに評価すること解析学ではよくあるねんな。

a≦x≦bで
f(x)≦g(x)
⇒
∫(a→b)f(x)dx≦∫(a→b)g(x)dx
これは習ったことはあるとは思うねんけど、実際に使うのは中々難しくて色々な例で勉強していかなあかんねんけど、まあ今回のやつも解き方を覚えておいて次に似たようなのがあれば使えるようにしておいてください。
ちなみに
1/(n+1)!<e-1-Σ(k=1~n)1/k!<e/(n+1)!
は極限とると両端は0になるから
e=Σ(k=0~∞)1/k!
ってeの級数表示を求めることが出来ます
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