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受験数学かずスクール
京大理学部で数学をやったわんこらが中学生や高校生、受験生に数学の公式や問題を解説します。

楕円と微分の問題、慶應大学医学部2009年度の第二問の解説
今日は相方が鼻血出して倒れた時の気分やけど、がんばるか。

慶應大学医学部2009年度の[Ⅱ]の楕円と微分の問題です。


[問題]
[Ⅱ]
090509_m1.jpg

以下の文章の空欄に適切な数または式を入れて文章を完成させなさい。

a,bを正の実数、mを実数、kを負の実数とする。xy平面上の楕円C:x^2/a^2+y^2/b^2=1と直線l:y=mx+kが異なる2点P,Qで交わるための必要十分条件はk>-(あ)であり、このときPQ=(2ab√(い))/(あ)である。
さらに、2点P,Qを固定して点Rを楕円C上で動かすときの△PQRの面積の最大値をAとするとA=PQ/2×(う)である。次に、mを固定してkを動かすとき、Aが最大となるkの値は(え)であり、その最大値は(お)である。

[解答]
090509_m2.jpg

異なる2点で交わるためには、やっぱりここは普通にyを消去してxの二次方程式にして、それが異なる2つの解を持てばええと思います。

一つ注意しとかなければならないのは、直線x=c(cは定数)とかx軸に垂直な直線ならxが一つの値に対して、直線と楕円の交点は上下に二つ出来ますが、y=mx+kではx軸に垂直な直線はありえないから、単にy消去してxの二次方程式が異なる二つの解をもてば大丈夫なわけです。

y消去して整理すると

(b^2+a^2m^2)x^2+2mka^2x+k^2a^2-a^2b^2=0…(1)

これが異なる2つの解をもつには判別式をDとするとD>0より

D/4=(mka^2)^2-a^2(k^2-b^2)(b^2+a^2m^2)
=-a^2b^2(k^2-b^2-a^2m^2)

だから
-a^2b^2(k^2-b^2-a^2m^2)>0

-√(b^2+a^2m^2)<k<√(b^2+a^2m^2)

kは負だから条件は-√(b^2+a^2m^2)<k(<0)だけでオッケーです。

090509_m3.jpg

次にPQの求め方やけど、ここは結構計算上大切なポイントがあってP,Qの座標を求めてからPQをまともに計算すると血吐きます。

こういうのはやり方が決まっていて
(b^2+a^2m^2)x^2+2mka^2x+k^2a^2-a^2b^2=0
の解をα,βとすると,点P,Qはy=mx+k上でもあるから
P(α,mα+k),Q(β,mβ+k)で
PQ=√((β-α)^2+(mβ+k-mα-k)^2)
=|β-α|√(1+m^2)

と言うように、出来るだけα、βのまま計算してまとめていきます。

|β-α|は二次方程式ax^2+bx+c=0の解の公式
x=(-b±√(b^2-4ac))/(2a)
から
(-b+√(b^2-4ac))/(2a)-(-b-√(b^2-4ac))/(2a)
=√(b^2-4ac)/a
のことで
(b^2+a^2m^2)x^2+2mka^2x+k^2a^2-a^2b^2=0
では
2ab√(b^2+a^2m^2-k^2)/(b^2+a^2m^2)
になります。

090509_m4.jpg

だから(b^2+a^2m^2)x^2+2mka^2x+k^2a^2-a^2b^2=0
の解をα、β(α<β)としておくと

β-α=2ab√(b^2+a^2m^2-k^2)/(b^2+a^2m^2)

PQ=(2ab√((b^2+a^2m^2-k^2)(1+m^2)))/(b^2+a^2m^2)

090509_m5.jpg

△PQRが最大になるのは、P,Qは固定だから点RからPQにおろした垂線の長さが最大になる時です。

ここで、いつものように点Rにおける接線がPQと平行になるようなのを求めると、わけわからんことなって死にます。

ほんまもうあかんようになると思う。

その方法は確かに有効な問題がかなり多いですが、この問題については死にます。

その辺の判断は難しいかもしれませんが、やっぱり楕円やから接線はちょっとややこしいわけやな。

と言うことで、もう一つの方法

点Rは楕円C上より点R(acosΘ,bsinθ)とおいて、点と直線の距離の公式から垂線の長さを求めてθを動かして最大値を求める

を使います。

やっぱ、円とか楕円とかなると三角関数の媒介変数の方が計算が簡単になること多いからな。

mx-y+k=0と点R(acosΘ,bsinθ)に使うと

|macosθ-bsinθ+k|/√(m^2+1)

これはちょうど三角関数の合成が使えるから、

|macosθ-bsinθ+k|/√(m^2+1)
=|√(m^2a^2+b^2)cos(θ+γ)+k|/√(m^2+1)
≦(√(m^2a^2+b^2)-k)/√(m^2+1)

(cosγ=ma/√(m^2a^2+b^2),sinγ=b/√(m^2a^2+b^2))

kが負の実数だから√(m^2a^2+b^2)cos(θ+γ)も同じ符号で絶対値が最大のものである-√(m^2a^2+b^2)をとった時に
|-√(m^2a^2+b^2)cos(θ+γ)+k|
が最大になります。
この絶対値の中は負より、マイナスをかけて
√(m^2a^2+b^2)-k
と絶対値が外せます。

まあちょっとややこしいけどな。

だからRから直線PQにおろした垂線の長さの最大値は
(√(m^2a^2+b^2)-k)/√(m^2+1)
この時、Aも最大で
A=1/2・PQ×(√(m^2a^2+b^2)-k)/√(m^2+1)

090509_m6.jpg

次はmを固定してkを動かすってことやけどPQの値を入れると

A=1/2×(2ab√((b^2+a^2m^2-k^2)(1+m^2)))/(b^2+a^2m^2)×(√(m^2a^2+b^2)-k)/√(m^2+1)
=ab(√(b^2+a^2m^2-k^2)(√(m^2a^2+b^2)-k))/(b^2+a^2m^2)

これをkで微分するわけや。

おえ~!??

ちょう、ほんま?おえ~!?


まあ一回落ちつけ。

これは実はもっと簡単な式で例えば
√(b^2+a^2m^2)=M
とおくと

A=ab(√(M^2-k^2)(M-k))/M^2
=ab(√((M-k)^3(M+k)))/M^2

ってそこそこ簡単になるわけやな。

微分するのは(M-k)^3(M+k)のとこだけ調べたらいいから

f(k)=(M-k)^3(M+k)
とおくと
f'(k)=-3(M-k)^2(M+k)+(M-k)^3
=-4(k-M)^2(k+M/2)

090509_m7.jpg

増減表を書くとk=-M/2で最大値になることがわかります。

だからk=-√(b^2+a^2m^2)/2の時、最大となり
最大値は
ab(√(M/2)^3(3M/2)))/M^2
=(3(√3)ab)/4

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