小数部分の問題…東京大学2011年度理系第二問文系第二問の解説 |

実数xの小数部分を,0≦y<1かつx-yが整数となる実数yのこととし,これを記号<x>で表す。実数aに対して,無限数列{a_n}の各項a_n(n=1,2,3,…)を次のように順次定める。
(i)a_1=<a>
(ii)
a_n≠0のとき,a_(n+1)=<1/a_n>
a_n=0のとき,a_(n+1)=0
(1)a=√2のとき,数列{a_n}を求めよ。
(2)任意の自然数nに対してa_n=aとなるような1/3以上の実数aをすべて求めよ。
(3)aが有理数であるとする。aを整数pと自然数qを用いてa=p/qと表すとき,q以上のすべての自然数nに対して,a_n=0であることを示せ。
(文系は(2)まで)
[解答と解説]
難しそうな、整数問題に見えて避けてしまうかもしれません。
でもこれは単によくあるパターンを組み合わせるだけで、むしろやりやすい問題です。
まあ、ウチワでおじさんのお尻を叩いてたらオナラが出たような話やな。

と言うことで、小数部部の問題は例えば
4/(√5-1)
の小部分を求める問題とかよくあるけど、これって
4/(√5-1)=4(√5+1)/(5-1)=√5+1
って有理化して2<√5<3やから整数部分は2+1=3で小数部分は
√5+1-3=√5-2
って求まったやんな。
だから
○まず整数部分が求まる
それでxの整数部分[x](←ガウス記号)が求まると小数部分<x>は
○<x>=x-[x]
であらわされるわけや。
たぶんなこれ出来なかった子って、人の家にちょうちん振り回しながら突っ込んで行ったことがないんやと思いますわ。
チャートのような例題のような問題やけど、いつもわんこら式数学の勉強法で言うてるように理解してると言っても理解の度合いが違って、
繰り返しまくって問題ごとパっと出るように覚えてるかどうかがこういうとこで差がつくねん。
(1)

東大の問題で整数問題が出てくるとn=1,2,3,…って入れていって実験してみるのがパターンです。
この処理は過去問繰り返しまくって覚えて下さい。
√1<√2<√4⇔1<√2<2
やから√2の整数部分は[√2]=1です。
だから
a_1=<√2>=√2-1
また
a_2=<1/(√2-1)>
だから
1/(√2-1)=(√2+1)/(2-1)=√2+1
と言うように有理化すると整数部分は2とわかるから
a_2=√2+1-2=√2-1
って同じ値になります。
だから
a_3=a_2=√2-1,a_4=a_3=√2-1
…
って言うように帰納的にa_n=√2-1とわかります。
帰納法でちゃんと書いた方がいいのかと言われると、書くにこしたことはないと思うけど、
この問題での焦点はn=1,2,3…って調べて予想をたてるのとこなので適当に誤魔化して書いて大丈夫だと思います。
(2)
(1)みたいなaを全部求めなさいみたいな感じの問題です。
これも同じように整数部分を求めて、小数部分をあらわしていったらええねん。

a_n=aとすると、まず漸化式から
a_(n+1)=<1/a_n>より
a=<1/a>
この式を処理していけばええわけやな。
まず<1/a>の整数部分が気になるとこです。
a≧1/3やから0<1/a≦3
で整数部分[1/a]は0,1,2,3が必要なことがわかります、
やっぱり整数部分が求まるパターンなわけやな。
でもこれは必要条件なので
必要条件で絞って、一つ一つしらみつぶしで調べていく
って言ういつも整数問題のパターンです。
そして
<1/a>=1/a-[1/a]
で<>をはずして
a=<1/a>
の式を
a=1/a-[1/a]
で扱います。
(i)[1/a]=0の時
a=1/a
となりa≧1/3よりa=1と決まります。
しかしaこれはそもそも[1/a]=1で不適です。
(ii)[1/a]=1の時
a=1/a-1
これを解いて1/3≦aより
a^2+a-1=0
a=(-1+√5)/2
これは[1/a]=1なので大丈夫です。

(iii)[1/a]=2の時
同じように
a=1/a-2
これを解いて1/3≦aより
a^2+2a-1=0
a=-1+√2
これも[1/a]=2なので大丈夫です。
(iv)[1/a]=3の時
a=1/a-3
これを解くと
a=(-3±√13)/2
で両方1/3未満になり不敵です。
(-3-√13)/2<0
は明らかやし
1/3-(-3+√13)/2=(11-3√13)/6
=√121-√(117)/6>0
より(-3-√13)/2も1/3未満です。
まあそもそもa=1/3のときにしか[1/a]=3にならなくてa=<3>=0で不適になるねんけどな。
(3)

今度はp/qやな。
p/qの整数部分が欲しいわけや。
欲しいけどガウス記号でよく実数xに対して
x-1<[x]≦x
で整数部分を扱ったりしてたやろ。
でもxが有理数の時は、これではちょっと精度が甘くて解けなかったりしたわけや。
アマアマなわけや。
オレも夢で女の子に膝枕してもらって泣く夢を見た甘えたなわけや。
あかん、整数問題を説明してたらどんどん変態がバレていく。
えっと、このガウス記号の問題、早稲大学2009年度理工学部の数学第1問の解説を参考にしてくれ。
有理数の場合はどうしたのかと言うと
x=p/qとおいて
[x]=p/q,(p-1)/q,(p-2)/q,…,(p-(q-1))/q,
って言うように整数部分はq個に絞ることが出来て解けたわけや。
有理数やとかなりの精度まで絞れるねん
これはどういうことかと言うと

x=p/qってことはpをqで割るってことやけど、商と余りを考えると
商はもちろん整数部分で[x]って表せたわけやな。
余りはrとしておいて
p=q[x]+r
それで余りrは
r=0,1,2,…,q-1
の計q個の場合があるわけや。
だからこれから
[x]=(p-r)/q
r=0,1,2,…,q-1
となるわけや。
この
p=q[x]+r
の式は大学の理学部数学科とかで代数とか習うとユークリッド整域の性質の一つで除法の原理であって、凄い重要なことやねんな。
まあ高校数学ではそんな凄いもんな感じはしないねんけど。
じゃあ解答を作っていきます。
それと解答の書き方はやっぱ数学的帰納法が書きやすいかな。
ここで、またこれも東大の問題でよくある処理のパターンで覚えて欲しいねんけど

nじゃなくてqに対して数学的帰納法を使うとやりやすいねん。
整式の証明問題、東京大学2007年度理系第1問の解説を参考にしてください。

q以上の全ての自然数nに対して
a=p/qとするとa_n=0…(A)
(A)を自然数qに関する数学的帰納法で示す。
(i)q=1のとき
a=pより,a_1=0
よって
a_2=0,a_3=0,…,a_n=0
よって(A)成立
(ii)q≦kのとき(A)成立を仮定すると
a=p/(k+1)ならば
整数部分はさっきやったように
[p/(k+1)]=(p-r)/(k+1)
(r=0,1,2,…,k)
よって小数部分があらわせて
a_1=<p/(k+1)>
=p/(k+1)-(p-r)/(k+1)
=r/(k+1)

r=0の時は,a_1=0,a_2=0…で明らかにa_n=0
r≠0の時は,
a_2=<(k+1)/r>
これは
rはk以下の自然数です。
と言うことは
b=(k+1)/r,b_n=a_(n+1)とすると
この{b_n]に対して帰納法の仮定が使えます。
つまり
b_n=0(n≧k)
です。
だからこれをa_nで言うと
a_n=b_(n-1)
=0
(n-1≧k)
つまりは
a_n=0
(n≧k+1)
これで証明終了です。
東京大学の入試の数学の過去問の解説
整数問題の解法の解説と問題演習
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円と直線の問題、東京大学2011年度理系第1問の解説 |
暑いときは、入り口がふさがるな。
と言うことで、東京大学2011年度理系の第一問の解説をやります。
[問題]

座標平面において,点P(0,1)を中心とする半径1の円をCとする。aを0<a<1を満たす実数とし,直線y=a(x+1)とCとの交点をQ,Rとする。
(1)△PQRの面積S(a)を求めよ。
(2)aが0<a<1の範囲を動くとき,S(a)が最大となるaを求めよ。
[解答と解説]
y=a(x+1)と言うことは、さては…はは~ん。
なるほど、そういうことか。
これは…(-1,0)を通るってことやな。
定点通過ってやつやな。
もうこっちはわかっとんねん。

だからy=a(x+1)がx軸正方向とのなす角度をαとするとtanα=aで
∠QPR=θとしたら
S(a)=1/2・1・1・sinθ
やろ。
だからθをαで表して…
ってやってると、補助線引きまくってぐちゃぐちゃになっていって、いらいらしてきて、だんだんむかついてきて消しゴムを隣の受験生に投げつけて

ふるえ~!
ってクロスカウンターしてることになります。
もしかしたら出来るんかもしれんけど厳しいかもしれんな。
じゃあ、どうしたらいいのかと言うと、定点通過とか大切には大切やけど細かいねん。
もっと基礎的なこととして、
円と直線の問題は点と直線の距離の公式が計算が簡単になりやすい
って言うのがありましたよね。
例えば

x^2+y^2=1に接する直線で(2,1)を通るものを求めなさい
これは色々やり方があるけど、一番簡単なのは点と直線の距離の公式を使う方法です。
x軸に垂直な場合は、y=m(x-a)+bの形に表せないからそれは注意やねんけど。
中心と直線との距離=半径
と言う式をたてればええわけやな。
だからこの問題でも点と直線の距離の公式を使うのが計算が簡単になりやすくて

点Pから直線y=a(x+1)に垂線PHをおろすと
ax-y+a=0から
PH=|0-1+a|/√(a^2+1)
0<a<1やから絶対値ははずれて
PH=(1-a)/√(a^2+1)
これで後はQRが求まれば△PQRの面積が求まるけど、
円の問題では、
中心から弦に垂線を引くと垂直二等分線になる
って言う円の性質をよく使います。
だから、これ使うかもしれんって言う思考パターンを覚えてくれたらええねん。
と言うことで
QR=2QH=2√(QP^2-PH^2)
QP=1,PH=(1-a)/√(a^2+1)
やから計算して
QR=2√(2a)/√(a^2+1)
よって
S(a)=1/2・PH・QR=(1-a)√(2a)/(a^2+1)
ここでちょっとおまけの話しとして、点と直線の距離を使うと絶対値の部分をはずすのがポイントやったりすることがあるねんな。

この問題はすぐにわかるねんけど、ちょっと話をすれば基本的には
F(x,y)=ax+by+c
とするとF(x,y)=0は直線をあらわすけど、この直線によって平面が
F(x,y)>0
となる正領域と
F(x,y)<0
となる負領域にわけられるねん。
これは例えば一点(x1,y1)でも代入して、もしF(x1,y1)<0と言うようになればその点を含む側の平面は負で反対側は正ってわかるねん。
それで点と直線の距離の公式では、点を代入するけどどっち側の領域かってことを考えたら絶対値がはずせるわけやねん。
この問題でもF(x,y)=ax-y+aとすると計算しやすい原点代入したらF(0,0)=a>0で原点が入る方が正領域と言うことは、P(0,1)の方は反対側やから負領域でマイナスではずしたらええってことがわかるから
-(0-1+a)/√(a^2+1)
と出来るわけですわ。
そしたら、おっさんがまた何か言うてたと言うことで次に行こか。
(2)
ただ単に微分するだけやねんけど、ちょっと計算がややこしいのがいかにも東大って感じやな。
それでも、簡単な方なのでしっかりあわせたいとこですね。
√が入ってる積分ですが

例えばa√aを微分しろ言われたら、積の微分使って
(a√a)'=√a+a1/(2√a)
(3√a)/2
ってやってたらちょっと面倒くさいと思うねんな。
そこで
(a^(3/2))'=3/2・a^(1/2)
って言うように、とにかくはa^(3/2)みたいにaの何乗の形に全部なおすのが計算しやすくて間違えにくいかなって思いますわ。

だからS(a)=√2(a^(1/2)-a^(3/2))/(a^2+1)
で根性で微分してください。

後は増減表でも書いて、a=2-√3でオッケーですね。
最初に角度で考えるとしんどいと言ってんけど、

∠QPR=θとすると
S(a)=1/2・1・1・sinθ
やからθ=90°の時に最大って言うのはすぐにわかります。
だからPH=1/√2の時なので
(1-a)/√(a^2+1)=1/√2
を解けばaの値は微分しなくてもすぐに出てまいます。
ただここでのポイントは、やっぱり直線と円の問題ではPHが計算簡単になりやすいってとこやねんな。
だからθ=90°とわかっても、PH=1/√2と言うようにPHの値に話を持っていくから簡単なであって
S(a)=1/2やから
√2(a^(1/2)-a^(3/2))/(a^2+1)=1/2
とやっても計算できるには出来るけど大変やし、
tanα=aとしてαの角度を求めるとか言うようにやっても大変やと思うねんな。
東京大学の入試の数学の過去問の解説
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