行列の一次変換の問題、電気通信大学昼間コース前期2009年度の題四問の解説 |
最近セイロガンを鼻に詰めないでって感じです。
それでは今回も行列の典型的な一次変換の問題です。
練習問題に使ってやってください。
電気通信大学2009年度昼間コース前期第四問の解説。
[問題]

点P(x,y)を原点Oのまわりに正の向きに角45°だけ回転した点をQ(x',y')とする.f=4(x')^2+2(y')^2とおき,原点Oを中心とする半径1の円をCとする.以下の問いに答えよ.
(i)(x,y)と(x',y')の関係は,行列Aを用いて
(x' y')=A(x y)
と表すことができる.このような行列Aを求めよ.
((x' y')と(x y)は縦ベクトル)
(ii)点P(x,y)がC上を動くとき,fの最大値とそのときの点P(x,y)の座標をすべて求めよ.
(iii)f=(x y)(a b b c)(x y)となる定数a,b,cの値を求めよ.
(右の(x y)は縦ベクトル、
(a b b c)は行列
a b
b c
のこと)
(iv)a,b,cを(iii)で求めた値とし,
B=(a b b c)
とおく.点P(x,y)がC上を動くとき,
g=(x y)(B+kB^2)(x y)
が定数となるような定数kの値と,そのときのgの値を求めよ.
(右の(x y)は縦ベクトル)
[問題]
(1)

OP→を40°回転させたらOQ→だからAは
cos(π/4) -sin(π/4)
sin(π/4) cos(π/4)
です。
回転行列ってやつやな。
まあ
x=rcosθ
y=rsinθ
って極座標をとって行列C(α)=
cosα -sinα
sinα cosα
として
C(α)(rcosθ rsinθ)を計算すると
(rcosθ rsinθは縦ベクトル)
(rcosθcosα-rsinθsinα rcosθsinα+rsinθcosα)
=(rcos(θ+α),rsin(θ+α))
で加法定理から確かにα回転してます。
(ii)

円上にあると極座標であらわすと円上である情報が直接的にあらわれるから、最大値とか考えるときに使いやすいです。
PはC上より
(x,y)=(cosθ,sinθ)(0≦θ<2π)
とおけて
(x' y')=A(cosθ sinθ)
=(cos(θ+π/4) sin(θ+π/4))
だから
f=4(x')^2+2(y')^2
=4(cos(θ+π/4))^2+2(sin(θ+π/4))^2
=2+2(cos(θ+π/4))^2
だから(cos(θ+π/4))^2=1つまりθ=3π/4,7π/4の時つまりP(x,y)=(-1/√2,1/√2),(1/√2,-1/√2)
の時、最大値4をとる。
何回つまり言うとんねん。
(iii)

ただ単に計算するだけやな。
f=(x y)(a b b c)(x y)
を計算すると
f=ax^2+2bxy+cy^2
今度は
(x' y')=(1/√2 -1/√2 1/√2 1/√2)(x y)
=((x-y)/√2 (x+y)/√2)
で
f=4(x')^2+2(y')^2
=3x^2-2xy+3y^2
だから
ax^2+2bxy+cy^2=3x^2-2xy+3y^2
が恒等的に成り立たなあかんねん。
だから係数を比べて
a=3,2b=-2,c=3
つまりは
a=3,b=-1,c=3
(iv)

PがC上より(x y)=(cosθ sinθ)とおいてもええねんけど、
g=(x y)(B+kB^2)(x y)
これ計算して
g=10k+3-2(6k+1)xy
これがC上のどんな(x,y)に対しても定数にならなあかんってことやねんけど、まあもうちょっと言うなら
g=10k+3-2(6k+1)cosθsinθ
=10k+3-(6k+1)sin2θ
がどんなθに対しても定数になるってことやから、明らかに
6k+1=0
じゃないとあかんことはわかります。
まあそれをどう説明するかやけど、さっきの恒等式の発想から言うと-1≦t≦1に対してdを定数として
-(6k+1)t+10k+3=d
が恒等的に成りたつから
-(6k+1)=0
10k+3=d
より
k=-1/6
d=4/3
か、-1≦t≦1って範囲があっても恒等式の性質を使って係数を比べていいと言うのはtの次数は1次で2個以上の値で成り立つからと言うことを言う必要があるのか自明とするべきかちょっと迷うとこやな。
まあ書いても減点されることはないが、書いてなかったら減点される可能性はあるから書いてたら安全やねんけど。
それか数値代入法を使ってt=0の時,g=10k+3、t=1の時4k+2、常に定数ならばこれらが等しいことが必要だから
10k+3=4k+2
より
k=-1/6
でg=4/3で実際に定数となっているからオッケーと言うことになります。
数値代入で出てきた条件は必要条件やから、もっかい代入して恒等的に成り立ってると書かなあかんのがちょっと注意かな。
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確率と漸化式の問題、電気通信大学昼間コース前期2009年度の第三問の解説 |
確率と漸化式の融合問題と言えば、何か切なくなって胸が苦しくなる人がいるけど何も言わずにただ抱擁してやってください。
今回の問題は、基本的な融合問題です。
電気通信大学昼間コース前期2009年度の第三問の解説
[問題]

右の図で、P-Q-R
はじめQにいて、さいころを投げるごとに,次の2つの規則に従って移動するものとする。\①Qにいるとき,さいころの偶数の目が出たらPに,奇数の目が出たらRに移動する。
②PあるいはRにいるとき,さいころの3または6の目が出たらQに移動し,それ以外の数の目が出たらその場にとどまる.
n回さいころを投げて移動した後にP,Qにいる確率を,それぞれp_n,q_nとする.以下の問いに答えよ.(配点50)\\
(i)p_1,q_1,p_2,q_2を求めよ.
(ii)q_(n+1)をq_nを用いて表せ.
(iii)p_nをq_nを用いて表せ.
(iv)p_n,q_nを求めよ.
(v)極限値lim(n→∞)p_n,lim(n→∞)q_nを求めよ.
[解答と解説]
(i)

p_1を求めるには最初Qにいて、Pに移動する確率やから目が偶数の2,4,6が出たいいから確率は
p_1=1/2
q_1は最初Qにいて、さいころを投げてQのままの時やけど絶対次はPかRに動くからQにおいてたら横のおっさんに
「あぅくとったら、しゃあったろか!」
って意味わからんこと言われてしばかれます。
だから
q_1=0
p_2を求めるには2回目にPにいる時であって、そうなるのは
1回目Q→2回目P
1回目P→2回目P
の二つの場合があるけど1回目Qは確率0やったからこの流れは無くて、1回目Pの時に3と6以外の目つまり1,2,4,5の目が出たら2回目もPのままやから
p_2=p_1×4/6
=1/3
q_2を求めるには2回目にQにいる時であって、そうなるのは
1回目P→2回目Q
1回目R→2回目Q
の二つの場合があるけど1回目Pで2回目Qに移動するには3か6の目やから確率2/6で移動します。
この流れは
p_1×2/6=1/6
1回目Qから2回目Qのままは起こらなかったから考えなくてよくて、
1回目Rで2回目Qに移動するには3か6の目やから確率2/6で移動します。
1回目Rにいるのは余事象考えてQでもPでもない1-q_1-p_1でこの流れは
(1-p_1-q_1)×2/6=1/6
だから結局
q_2=1/6+1/6=1/3
で求まりました。
だから最初にn回目にRにいる確率をr_nとおいて
p_n+q_n+r_n=1
と書いた方が解答を書きやすいと思います。
(ii)

いよいよ漸化式を立てろって問題やな。
(i)で具体的にn=1,2でやってみて、それをヒントに一般的なnやってみるってことです。
コツはn回目とn+1回目の関係を図で書いて考えることかな。
n+1回目にQにいるのは
n回目P(p_n)→n+1回目Q
n回目R(r_n)→n+1回目Q
でどちらも確率1/3で移動します。
だから
q_(n+1)=p_n×1/3+r_n×1/3
=p_n/3+(1-p_n-q_n)/3
=(1-q_n)/3
こういう図の書き方と、それを見て式を立てる方法を身につけて欲しいとこやな。
(iii)
q_nとq_(n+1)の関係は求まっていて
p_n+q_n+r_n=1
やって後はr_nはPとRの対称性から確率は一緒やからp_n=r_nなので
p_n+q_n+p_n=1
⇔
p_n=(1-q_n)/2
こうやって、余事象とか対称性で確率が同じになるのをよく考えます。
(iv)

漸化式を解いたらオッケーです。
まあこれは数列の範囲やな。
q_(n+1)=(1-q_n)/3
の形はq_(n+1)とq_nをxに置いた特性方程式
x=(1-x)/3
を解いてx=1/4
だから
q_(n+1)=(1-q_n)/3
x=(1-x)/3
辺々引いて
q_(n+1)-x=-(q_n-x)/3
つまり
q_(n+1)-1/4=(-1/3)・(q_n-1/4)
これで{q_n-1/4}は公比-1/3の等比数列だから
q_n-1/4=(q_1-1/4)(-1/3)^(n-1)
⇔
q_n=1/4-1/4(-1/3)^(n-1)
p_nはもうq_nで表されてたから
p_n=(1-q_n)/2
=3/8+1/8(-1/3)^(n-1)
(v)
これはおまけみたいな感じで(-1/3)^(n-1)はどんどん0に近づくから
lim(n→∞)p_n=3/8
lim(n→∞)q_n=1/4
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