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受験数学かずスクール
京大理学部で数学をやったわんこらが中学生や高校生、受験生に数学の公式や問題を解説します。

正規部分群はどういう意味があるか
正規部分群は最初に経験する忘れらない切ない経験ですが、今回はそういう正規部分群について説明したいと思います。


091017_m1.jpg

まずは定義は
Gを群として、HがGの部分群で

H=gHg^-1(∀g∈G)
(gHg^-1:={ghg^-1|h∈H})

を満たすとき、HをGの正規部分群と言います。


まあこれだけ聞くと正規部分群はなんかようわからんことが多いねん。
なんでこんな定義してるのか、どう扱ったらええのか。
それで定義も忘れると。


そこでまずは正規部分群にイメージを持ってもらいたいねん。

091017_m2.jpg

だいたいこんな感じ。
これでだいたい、

せ…正規部分群…おまえ…

ってなると思うねんけど、もう少し説明を加えると正規部分群は正規部分群だけ見ててもあんまよくわからんかって剰余集合を考えて見てほしいねん。


だから大学の数学は意味はわからんけど、とりあえずは何となく書いて覚えてみて進めまくることで関連性とか同じような考え方とかが出てきてわかってきたり、記憶が定着したりするねんな。

091017_m3.jpg

剰余集合G/Hを考えて、これが自然に群の構造を持つにはどうなればええかってことを考えてみるねんけど、群の構造を持つとしたらGの任意の元a,bに対して
(ah)(bh')=abh''
(h,h',h''∈H)
と言うような演算が成り立たなあかんわけやな。

でも群は可換とは限らないから

(ah)(bh')=abh''

ahbh'=abh''

で計算がとまってしまうねん。


もしGがアーベル群なら積の順番が交換できるから
ahbh'=abhh'
なわけやからh''=hh'で特に問題なく
(ah)(bh')=abh''
は成り立ってるねん。


091017_m4.jpg

ただGがアーベル群でなくても

ahbh'=abh''

a(hb)h'=abh''

でhb=bh'''となるようなら

ahbh'=abh'''h'
でh''=h'''hでうまいこといくねん。

だからアーベル群より緩い

Hb=bH

ぐらいの可換性が任意のGの元bで成り立てばええわけやねん。

Gの元bとHの元hは交換することは出来なかったとしても

hb=bh'''

と言うようにHの中の他の元になるけど、交換らしきことを考えるねん。


するとHb=bHって言うのは文字を書き換えると
gH=Hg(∀g∈G)
が成り立つことやけど、これはg^-1を右から作用させて

gHg^-1=H

になるから、正規部分群になりますやん。


だから、正規部分群って言うのは剰余集合が群になる意味があって、可換性が求められるねんけど、アーベル群ほどの可換性はないけどもう少し緩い可換性やねん。

アーベル群

xy=yx(∀x,y∈G)

正規部分群

xH=Hx(∀x∈G)


こうやって、関連性とか意図が見えてくるとわかりやすくなったりするねんけどな。
それが見えてくるには、そこでわからんって悩んだりし続けるんじゃなくて手を動かして書いてとりあえずは覚えてみてどんどん進めていくことで見てくるねん。


そしたらこれをもう少しちゃんと書くと

091017_m5.jpg

群Gの正規部分群Hに対して

(xH)(yH)∈G/H×G/H→G/H∋(xyH)
(x,y∈G)
と定める乗法によりG/Hは群になり

Ψ:x∈G→G/H∋xH
により定まる写像ΨはGからG/Hの上への凖同型である。


[証明]
091017_m6.jpg

y∈Gのとき、yHy^-1=Hゆえ
Hy=yH
よって
(xH)(yH)=x(Hy)H
=xyHH
=xyH
がGの部分集合として成立してる。

よって,G/Hにおける演算
(xH)(yH)=xyH
は元xH,yHの表し方に関係なく定まる。

これはwell-definedってやつやな。

xH=x'H、yH=y'Hの時にもし
xyH≠x'y'H
になったら、写像として意味がないねんな。

でもさっきの計算から
(xH)(yH)=xyH
がGの部分集合として成り立っていて
(x'H)(y'H)=x'y'H
もGの部分集合として成り立っていてxH=x'H、yH=y'Hの時は
xyH=x'y'H
もGの部分集合として成り立つからオッケーやねん。

091017_m7.jpg
次に結合法則は

x,y,z∈Gに対して
((xH)(yH))(zH)=(xyH)(zH)
=(xy)zH
=x(yz)H
=(xH)(yH)(zH)

G/Hの単位元はHで

(xH)(x^-1H)=xx^-1H
=H
だからx^-1HがxHの逆元

だからG/Hは群になる。


Ψ(xy)=xyH
=(xH)(yH)
=Ψ(x)Ψ(y)
よりΨは凖同型

数理物理




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分離公理は図を書くのがコツ
久しぶりに大学の数学についても書こか。


今回は位相空間の分離公理について書こうと思います。


だいたい次の三つくらいがあります。


Xを位相空間とする

091024_m1.jpg

○ハウスドルフ空間

X上の任意の相異なる2点a,b∈Xに対して、二つの開集合U,Vで
a∈U,b∈VかつU∩V=φ
となるものが存在するとき、ハウスドルフ空間と言う、


○正規空間

Xの任意の互いに交わらない閉集合F_1,F_2に対して、開集合U,Vで
F_1⊂U,F_2⊂VかつU∩V=φ
となるものが存在するとき、正規空間と言う


091024_m2.jpg

○正則空間

X上の任意の点aとその点を含まない閉集合Fに対して、二つの開集合U,Vで

x∈U,F⊂VかつU∩V=φ

となるものが存在するとき、正則空間と言う。


ただ正規空間や正則空間とか本によって定義は違うねんけどな。

それにもっとT0空間、T1空間…とか細かい話もあるねんけど今日はその話じゃなくて、図を書いて欲しいってことやねんな。


例えば

(1)Xは正規空間

(2)閉集合Fと開集合Gについて、F⊂Gならば、開集合UでF⊂UかつU ̄⊂Gとなるものが常に存在する。

も普通、本に載ってるような証明は

(1)⇒(2)

閉集合Fと開集合Gについて、F⊂Gであるとすれば、Gの補集合GcとFとは互いに交わらない閉集合である。
Xが正規空間より、互いに交わらない開集合U,VでF⊂UかつGc⊂Vとなるものが存在。
このとき、F⊂U⊂Vc⊂Gであり、Vcは閉集合であるから、U ̄⊂Vc⊂G。
よってF⊂UかつU ̄⊂G。

(2)⇒(1)

A,Bを互いに交わらない閉集合とする。
Bの補集合BcはAを含む開集合だから(2)よりA⊂UかつU ̄⊂Bcとなる開集合Uが存在。
U ̄の補集合をVとすれば、VとUは交わらない開集合でB⊂V。

って感じですわ。


なんかこういう位相の計算はわけわからんって感じやねんけど図で考えて欲しいねん。

091024_m3.jpg

こうやって図で考えたら、位相もわかるわけや。


さっきのでは

091024_m4.jpg

こうやって図を書けば、難しいことを言うてるわけでは全然ないねんな。
○で囲っていく絵を描くだけやからな。


これを式にあらわすと少々複雑にはなるねんけど。


だから悩むんじゃなくて、まずは図を書いてみるねん。
そしたら、意味がわかってきやすいねんな。


そら図で書くと思い込みが発生して反対にわかりにくいこともあるかもしれんけど。


今日は集合の演算とか位相とか、まずは図を書いて図で考えて式を立ててくれって言うことですわ。

数理物理




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重複組み合わせの説明と使い方
だいぶん、鼻をかんだティッシュを筆箱に溜ってきたところで重複組み合わせについて説明しとこか。


まずはこういう問題があったしよう。

[問題]
りんごとみかんと桃の三種類から7個の果物を買う方法は何通りあるか。
ただし、含まれない果物があってよい。


[解答と解説]
これは普通に考えれば、おばはんどもがうへ~ってベタベタに触りまくって選んでる光景が浮かびますが足して7になる自然数の組み合わせは

(0,0,7),(0,1,6),(0,2,5),(0,3,4),
(1,1,5),(1,2,4),(1,3,3),(2,2,3)
の8つで
(0,0,7),(1,1,5),(1,3,3),(2,2,3)
は順番の見分けをつけると、それぞれ3通りで計4×3=12通り

(0,1,6),(0,2,5),(0,3,4),(1,2,4)
は順番の見分けをつけると3!=6通りだから計4×6=24通り

よって
12+24=36通り

と、何とか求まるには求まるけど数字が大きくなってきたら大変やねんな。


そこで少し考え方をかえて、

○○○○○○○

って7個のボールを並べて、棒を3から1引いた2本用意してこれらの間と端に入れるねん。

例えば

○○○|○○|○

と入れたとすると、一番左の○三個をりんこ三個と考えて、真ん中の○2個をみかん二個と解釈して、右の○一個を桃一個とするねん。


|○○|○○○○○

こうやって端に棒がくると、りんごを0個と考えるねん。

○○○||○○○○

こういう棒が並ぶ場合はみかんが0個な。


だから、りんごとみかんと桃の三種類から7個の果物を買う方法は○は7個と|は3-1=2個であわせると9個やけど9個の場所に○7個の場所を選ぶ方法を考えたらよくて

9C7=36

で求まるねん。


一般的には

091015m1.jpg

異なるn個のものから重複を許してr個とる組み合わせは
棒をn-1個用意してn+r-1個の場所からn個選ぶ方法を考えて
n+r-1Cr
で計算出来るってことやな。

これを
nHr
と書くねん。

nHr=(n+r-1)Cr

まあこのnHrと言う記号や計算の仕方も覚えといたらええに決まってるねんけど、棒をn-1個用意してn+r-1個の場所からr個選ぶ考え方を図と一緒に覚える方が大切かな。

いっつも覚えるって言うのはこういう考え方や図とかを覚えて欲しいってことやねんな。


それで重複組み合わせは次のような問題でもよく使うねん。



[問題]
x,y,zを0以上の整数とする。
x+y+z=n
となる(x,y,z)の解の個数を求めよ。


[解答と解説]
一見、余り場合の数の問題に見えにくいけど、これはさっきのりんごとみかんと桃からn個選ぶ方法とまったく同じやねん。

りんごをx個、みかんをy個、桃をz個とするとx+y+z=nの時、(x,y,z)は何通りあるかってことですやん。


だから3個の異なるものから重複を許してn個選ぶ方法で

3Hn

でオッケーやねん。


さらにこの問題をちょっと応用させて


[問題]
x,y,zを自然数とする。
x+y+z=n
となる(x,y,z)の解の個数を求めよ。
(n≧3)

[解答と解説]
x,y,zは自然数で1以上やから、そのまま公式は使えんわけや。
こういう時は
X=x-1,Y=y-1,Z=z-1とおくと、X,Y,Zは0以上の整数で

x+y+z=n

X+1+Y+1+Z+1=n

X+Y+Z=n-3

で(X,Y,Z)が決まれば(x,y,z)も1通りに決まるから、(X,Y,Z)の個数を求めたらよくて

3H(n-3)

で出来るねんな。


こうやって、文字を置き換えると0以上に出来る技術は整数問題で使ったりするから、これも覚えとったってくれ。
参照→整数問題、ab+1≦abc≦ab+bc+ca+1(c<b<a、a,b,cは自然数)の時のa,b,cは?



最後にこういう問題も重複組み合わせを使えば簡単に計算出来るって言うのを紹介しときますわ。

[問題]
xyz=540
を満たす自然数x,y,zの組は何通りあるか


[解答と解説]
そらまあ素因数分解するんやろな。
540=2^2・3^3・5
で2が2個、3が3個、5が1個でx,y,zにどうやって分配していくかやな。

これも
xyz=210
なら
210=2・3・5・7
で2はx,y,zのどれかに入れる3通り,3も3通り、5も、7も3通りで3^4=81通りと言うように全部違う素数が1個ずつなら簡単に解けるけど、540は2が2個あったり、3が3個あったりで難しいわけやな。

まず2の2個と3の3個を別々のものとして入れてから、区別を無くすとか考えたらそらもう恐ろしい計算やな。

ここで重複組み合わせを使って、2の2個をx,y,zに入れる方法はx,y,zの3個から重複を許して2個選ぶ方法で
3H2=4C2=6通り

3の3個をx,y,zに入れる方法はx,y,zの3個から重複を許して3個選ぶ方法で
3H3=5C3=10通り

5の1個をx,y,zに入れる方法は3通り。

よって

6・10・3=180通り


重複組み合わせみたいに、観点をかえて数えると凄い計算が楽になったりするねんな。
場合の数ではよくあることや。

この問題のように


n個の異なる箱があって、区別のない赤玉をa個、白玉をb個、青玉をc個入れる方法は

赤玉の入れ方はnHa、白玉はnHb,青玉はnHcだから
nHa・nHb・nHc通り

って言うように、重複組み合わせの積で求められる問題もあるからこれもチェックしといたってくれ。

なかなか思いつかんもんやからな。
覚えてると覚えてないで閃き度が違うってことですわ。

高校数学の公式や問題の解説




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京都大学理学部で数学と物理を勉強し、数学を専攻しました。
東京で数学と物理の講師やってます

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