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受験数学かずスクール
京大理学部で数学をやったわんこらが中学生や高校生、受験生に数学の公式や問題を解説します。

rotのイメージ(ベクトル解析)
ベクトル解析でローテーションと呼ばれるrotが全然意味わからんって言う意見があります。

専門で勉強していても、なんか知らんけどそういう計算なんやと思ってる人も多いしな。


まあでもまずはなんか知らんけど、そうなるって覚えたらええねんけども。

そこで今日はイメージを説明したいと思います。


こんなイメージです。

rot1107051.jpg

逃げても逃げても、ネチョって引っ張られ、テュルってスベって、ニュルニュル身体を押し付けてくる兄さん。

「いつになったら終わるの?」

と無限地獄との狭間の空間…


それはローションのイメージやろ!



まずベクトル場E=(Ex,Ey,Ez)があって

rotE=(∂Ez/∂y-∂Ey/∂z,∂Ex/∂z-∂Ez/∂x,∂Ey/∂x-∂Ex/∂y)
(または∇×E)
とあらわされるわけやけど、ベクトルですよね。

これ具体的に何のベクトルなのかと言うと

rot1107052.jpg

こういう回転軸の方向のベクトルのことやねん。

それで成分の大きさは、回転の強さをあらわしてるわけやねんな。



さらにわかりやすいようにz軸が回転軸のものを考えてみます。

まずベクトル場って言うのは、その点での水の流れの速度みたいなもんやんな。

z=z0の平面において点(x0,y0,z0)における回転を考えてみます。


それでz軸が回転軸やと右ネジの法則で、(x0,y0)を中心に反時計回りに回転させようとするのは正、時計回りに回転させるのは負になってるわけや。


rot1107054.jpg

∂Ey/∂x>0とすると、Eyは(x0,y0)に十分に近い付近でxの増加関数やから

点(x0,y0)より左側より、右側の方が大きいわけや。

これは正の方向に回転させるやろ。


それで

rot1107055.jpg

∂Ex/∂y>0とすると、Exは(x0,y0)に十分に近い付近でyの増加関数やから

点(x0,y0)より下側より、上側の方が大きいわけや。

これは負の方向に回転させるやろ。


と言うことは、

∂Ey/∂x-∂Ex/∂y

だけ回転させようとしてるわけや。


これをx軸,y軸が回転軸になってるものを考えたら

rotE=(∂Ez/∂y-∂Ey/∂z,∂Ex/∂z-∂Ez/∂x,∂Ey/∂x-∂Ex/∂y)

が直感的にイメージがしやすくなるわけです。


しかも記憶の仕方になってるしな。

と言うよりも、むしろ記憶するための話やなこれは。



と言うことで、みんなもお互いに塗りまくって練習してください。

数理物理




テーマ:物理学 - ジャンル:学校・教育

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極限の定義、ε-δ論法は否定を考えてみるとわかりやすい
今回は極限の定義で大学の専門書とかで使われるε-δ論法について説明したいと思います。

それは高校1年生からのある一通のメールから始まった
「教科書で限りなく近づくが曖昧です。
ε-δ論法がありました。
よろしくお願いします。」

大学生でもε-δ論法わかりにくい言う人多いしな。


簡単にするためまずは数列の極限で説明したいと思います。

lim(n→∞)a_n=α

これが大学の専門書における厳密な定義では

(∀ε>0)(∃n_0∈N)(∀n∈N)(n≧n_0⇒|a_n-α|<ε)

となります。

言葉で言うと

任意の正の数εに対して、ある自然数n_0が存在し、n≧n_0となる全ての自然数nに対して
|a_n-α|<ε
となる時、数列{a_n}はαに収束するって言う意味です。


何がわからないかと言うと、何故こんな定義をしてるのかがわからないのだと思います。

まず任意の正の数εと言うところは、任意と言ってもどこまでも小さく出来るって言うところに意味があります。

どこまでもεを小さくしても、n_0を多くしてnの範囲をn_0≦nと言うように大きい所に絞れば
|a_n-α|<ε
と出来る。

これが{a_n}がαに収束するって言うことです。

例えばa_n=1/nが0に収束すると言うことは
任意のε>0に対してn_0=[1/ε]+1とすれば([1/ε]は1/εを越えない最大の整数)
n_0>1/εになってるわけですが
n≧n_0の時
|1/n-0|=1/n≦1/n_0<ε
でこれで{a_n}は0に収束すると言えるわけです。


この説明がわからんねん言うとんねん!

100216m1.jpg

ぶほー!!

まあまあ痛いな。



そこで反対のことを考えてみて欲しいねん。

否定をとって収束しない場合を考えるねん。


(∀ε>0)(∃n_0∈N)(∀n∈N)(n≧n_0⇒|a_n-α|<ε)

の否定をとれば

(∃ε>0)(∀n_0∈N)(∃n∈N)(n≧n_0かつ|a_n-α|≧ε)

この否定の意味は

n_0を大きくして、どのようにn≧n_0と言うように大きいところにnの範囲を絞っても
|a_n-α|≧ε
となるnが存在してしまうような、ある正の数εが存在する

ってことです。


確かにいくらnを大きい範囲に絞っても、a_nとαの差がある値より小さくならないものがずっと出てくるならa_nがαに収束するとは言えません。

そうでない場合は収束するって言うとわかりやすいと思います。

たぶんな。


こうやって否定を考えてみると、わかりやすいねん。

たぶんな。

収束しない場合を考えて、そうでないときが収束する場合になると考えるとわかりやすいねん。

たぶんな。


ε-δ論法に戻ると

関数f(x)に対してlim(x→a)f(x)=bをε-δ論法で書けば

(∀ε>0)(∃δ>0)(∀x∈R)(|x-a|<δ⇒|f(x)-b|<ε)

意味は

任意の正の数εに対して、ある正の数εの存在して
|x-a|<δとなるすべてのxに対して|f(x)-b|<ε

です。

これも正の数εをどれだけ小さくしても、δを小さくして|x-a|<δとxの範囲をaの近く絞れば
|f(x)-b|<ε
とすることできるって言う解釈で、これをx→aでf(x)はbに収束すると言えるねん。


これがわかりにくいと今度は反対つまり否定を考えてみて、

正の数δを小さくして、どんなに|x-a|<δと言うようにxの範囲をaの近くに絞っても
|f(x)-b|≧ε
となるxが存在してまうような正の数εが存在してしまうなら収束しない。

この反対であれば収束すると言うとわかりやすいって話やな。

数理物理




テーマ:算数・数学の学習 - ジャンル:学校・教育

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二重級数の和の命題の証明
前に=には等しいと言う意味と、≧かつ≦が成り立つ意味があるを書きましたが、もう一度書くと

数学のイコール=には

1、両辺が等しい

2、左辺≧右辺かつ左辺≦右辺

と言う二つの意味があって、この左辺≧右辺かつ左辺≦右辺を使う例を紹介しますわ。


大学で習う数学では、これを使った証明多いからなあ。

ぜひ身につけて欲しいやり方やねん。



次の二重級数の命題を見てください。

命題
100116m1.jpg

a_m,n≧0であるとき

Σ(m,n=0~∞)a_m,n ,
Σ(m=0~∞)Σ(n=0~∞)a_m,n ,
Σ(n=0~∞)Σ(m=0~∞)a_m,n

の内の1つが収束すれば、他の二つも収束して、三つの値は一致する。



この証明で使います。

その前に、定義を確認しとこか。

まず二重級数とは何かと言うと

100116m2.jpg

こんなイメージです。



これでだいたいわかったと思うねんけど、もう少し詳しく書いていくとここではa_m,n≧0だけ考えていくとして

100116m3.jpg

○二重数列(a_m,n)_(m.n)∈N^2はN^2=N×N上で定義されたRの値をとる函数である。

そして

○Σ(m,n=0~∞)a_m,nを二重級数と言う。

ほんまはこう書くと二重級数の和と同じ表記になってまうねんけど、便利だからこう書くそうな。

それでこの二重級数の和を定義していきたいねんけど、まずは

○FをN^2の有限部分集合全体の集合とする。

○F∈Fに対する部分和sFを

sF=Σ(m,n)∈F a_m,n

によって定義し、すべてのa_m,n≧0となる二重級数に対して
s=sup_F∈F sF
をその和と言い、s=Σ(m,n=0~∞)a_m,nと記す。


だからΣ(m,n=0~∞)a_m,nはm,nを同時に極限とるような感じで、
Σ(m=0~∞)Σ(n=0~∞)a_m,nは先にnの極限をとってからmの極限をとっていて、
Σ(n=0~∞)Σ(m=0~∞)a_m,nはmの極限をとってからnの極限をとっている。


それでこの極限とる順番は一つでも収束すれば、他の二つも収束して値が等しいから極限の取り方は交換してもよいと言うのがこの命題やねん。


そしてこの証明には=は≦かつ≧と言う意味があると言うのを使います。


[証明]
100116m4.jpg

三つの値をそれぞれα,β,γとする

α≦βかつα≧βを示すことでα=βであると言いたくて

a_m,n≧0よりα,β,γ∈R~(=R∪{±∞})

∀p,q∈N,([0,p]×[0,q])∩N^2∈Fより
Σ(m=0~p)Σ(n=0~q)a_m,n≦sup_F∈F Σ(m,n)∈F a_m,n=α

よってqで極限とった後、pで極限をとると
lim(p→+∞)lim(q→+∞)Σ(m=0~p)Σ(n=0~q)a_m,n≦α

β≦α


100116m5.jpg

今度は反対を作りたくて
∀F∈F,∃p,q∈N,F⊂([0,p]×[0,q])∩N^2
だから
Σ(m,n)∈F a_m,n≦Σ(m=0~p)Σ(n=0~q)a_m,n
≦Σ(m=0~p)Σ(n=0~∞)a_m,n
≦Σ(m=0~∞)Σ(n=0~∞)a_m,n=β

よってF∈Fについて上限をとって

sup_F∈F Σ(m,n)∈F a_m,n≦β

α≦β

だからβ≦αかつα≦βよりα=βと示せて、アルファ,βのうち一方が有限ならば他方も有限になってます。

αとγは全く同じようにやれば出来ます。



この手の証明はルベーグ積分とかでも出てくるから、これで覚えておけば役に立つと思います。



ついでにこの命題は具体的にどう使うかと言うと主には定義や定理の証明は書きませんが
a_m,nが負になる項があるのも二重級数を定義しておいて

次の定理があります。

100116m6.jpg

次の3つの級数
Σ(m,n=0~∞)|a_m,n|,
Σ(m=0~∞)Σ(n=0~∞)|a_m,n|,
Σ(n=0~∞)Σ(m=0~∞)|a_m,n|
のうち1つが有限なら、他の二つも有限で
Σ(m,n=0~∞)a_m,n
=Σ(m=0~∞)Σ(n=0~∞)a_m,n
=Σ(n=0~∞)Σ(m=0~∞)a_m,n


それでこれらを使って次の値が求まります。

100116m7.jpg

|x|<1,|y|<1の時Σ(m,n=0~∞)x^my^n


[解答]
100116m8.jpg

そのままでは足しにくいですが、

1、まず扱いやすい順番の極限で絶対収束することを示すことで極限の順序を交換できることを確認

2、求まりやすい極限の順番で計算する

の手順でやっていきます。

Σ(m=0~∞)Σ(n=0~∞)|x^m||y^n|=Σ(m=0~∞)|x^m|/(1-|y|)
=1/((1-|x|)(1-|y|))<∞

よってΣ(m,n=0~∞)x^my^nはの極限の順序を交換してよくて

Σ(m,n=0~∞)x^my^n=Σ(m=0~∞)Σ(n=0~∞)x^my^n
=Σ(m=0~∞)x^m/(1-y)
=1/((1-x)(1-y))



この解答の仕方も、ルベーグ積分のFubiniの定理を使うとこでよく出てくるから覚えておいたら役に立つと思います。


数理物理




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京都大学理学部で数学と物理を勉強し、数学を専攻しました。
東京で数学と物理の講師やってます

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